不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鼠の目#459(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

6000volt.jpg

カメラマンがダンスを踊るように回転し、ドサッと倒れた。

喉笛から噴水のように血を吹き上げながら死の舞踊を踊っていた。

その光景にマイクを握っていた放送記者の身体がギョッと硬直した。

しかし、その固まりは一瞬だった。

記者の頭半分が吹っ飛ばされ、脳漿が花火のように拡散した。

ジーンズを履いたアルバイトらしき若者二人が、手にしたケーブルを放り投げ、逃げ出そうと身体を翻した。

しかし、それもかなわぬ抵抗だった。

また一連の射撃音とともに、若者二人は弾け飛ぶように崩れ落ち、そのままピクリとも動かなくなった。

バカが…と山下は思った。

あと10分遅ければよかったのだ。

すでにヘリがこっちへ向かっていたというのに…。

山下はマスコミが嫌いだった。

やつらの傍若無人ぶりは腹立たしかったし、人を食ったような図々しさに辟易するばかりだった。

捜査の邪魔はするは、夜討ち朝駆けと称して、のべつ現れるわ、怒鳴ったこともたびたびある。

しかし、彼らとてサラリーマンだ。

組織で生きていく人間だ。

妻もいれば、子もあろう。

愛憎も起伏も、人としてはなにも山下自身とは変わるところはない。

若者にいたっては、夜学で苦労しているのかもしれん。

あるいは単なるフリーターかもしれん。

しかし、それと人間の尊厳とは一切リンクしない。

若者の未来という輝かしい時間を波動は完膚なきまでに奪い去った。

放送記者の家庭を破壊しつくした。

山下は怒りで身体が震えてきた。

警官になりたての頃以来、忘れていた正義感という青い概念が湧き上がってきた。



Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://shirokin.blog43.fc2.com/tb.php/101-906d16f7
該当の記事は見つかりませんでした。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。