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鼠の目#464(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

sakuteki2.jpg

山下の刑事としての矜持はまだしっかりとしている。

山下はホルスターから短銃を取り出すと、膝をついて下方の広場へ近付いた。

あの機動隊員はもうだめだろう、と推測はたつ。

しかし、誰でもいい、助けなければならない、という使命感だ。

さらにいえば、建物内部の安否も確認したい、それが大きな動機だったろう。

ジリッ、ジリッと建物に近付く。

途中、どうしも吐き気に対抗できず、横を向いて吐寫した。

胃の中は空っぽだった。

わずかに苦酸っぱい胃液を吐き出しただけだが、多少、気分はよくなった。

広場直前の立ち木に身体を潜め、様子を窺う。

散発的な銃声はまだ続いている。

わずかにヘリの音も聞こえてきた。

さらなる増援部隊だろう。

一体、何人が死体になればこのオオバカな戦いは終了するんだ?

山下はやりきれない徒労感を感じていた。

これまでならこの短銃の威嚇射撃だけでコトは収まっていたはずだ。

ところが、これはどうだ。

機動隊員が脳漿を吹き上げ、波動がハラワタをはみ出させ、ここかしこに無残な死体を晒している。

なんのために?

なにを目的に?

なんの利益があって?

今、そんなことを考えたところで、詮ないことは百も承知している。

しかし、目前に転がる死体は、強烈に山下をして思考を要求した。

ビシッ、と山下の足元に銃弾がささった。

転がるように身体を反転させ、後方を確認した。

居た!

こっちを狙っている。

ライフルの照準を合わせ、オレを狙っている波動がいる!



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