鼠の目#467(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

P-DN-070830-10A.jpg

にらみ合いのような時間が過ぎた。

物理的にはごく短い時間だったろう。

その緊張を破ったのは広場方向からの怒声だった。

「突入しろ!ライフルおよび短銃の使用を許可する」

パーン、パン、パンと各方向からライフルの射撃が始まった。

ついに警察部隊と波動の全面対決の幕が切って下ろされた。

その声に山下の警察官本能が反応してしまった。

視線を長田からはずし、広場方向へ送ってしまったのだ。

そのわずかなスキを長田は見逃さなかった。

照準を合わせるまでもない。

AK47を持ち上げ、腹に固定し引き金を何度か引いた。

ケンスケが、山下!と叫ぶ声と同時だった。

パン、パン、パン!

どう、と山下の肥満気味の身体が倒れた。

長田はさらに引き金を引こうとしたが、カチカチという機械音がするばかりだった。

マガジン弾装切れなのだ。

弾切れに躊躇した長田に、今度ばかりはケンスケが飛び掛った。

半身を返して、思い切り長田の顎を蹴り上げた。

グシャッという音とともに、ケンスケの足先に衝撃が走った。

長田の顎先を捉えた蹴りは、長田の顎を割ったのだ。

長田は顎を押さえたまま、そのまま倒れようとした。

ケンスケがまた半身を返し、倒れそうになっている長田のわき腹に強烈な蹴りを再度見舞った。

グシャ。

肋骨が何本か折れたはずだ。

ゆっくりと長田は後方にもんどりうつように倒れていった。

長田は完全に気を失っていた。

ケンスケは慌てて山下のところへ駆け寄った。

頭上ではバラバラバラという轟音が炸裂している。

警察の掩護部隊が大量に運ばれてきているのだ。

チラと目をやると、はるか後方にも何機かが見える。

多分、マスコミの取材ヘリだろう。

しかし、この状況では警察が接近を許してないはずだ。

なにしろ事故ではないのだ。

これは内乱なのだ。