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鼠の目#472(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

1.jpg

「とにかくケンスケと合流しよう。固まるのは危険だが、単独はもっと危険だ。ケンスケならいざしらず、オレはアマチュアだ」

「マリーさんはどうするの」

「どうしようもなかろう。とにかく状況が落ち着かない限り、遺体を運ぶことすらままならない」

「そうね。仕方がないわね」

じゃ、行こう、とオレは由美子を促した。

ヒュンヒュンとライフルの剣呑な音が続いている。

非日常の空間としては、これ以上ない。

稜線のわずかに下まで登り、身体を隠しながら視界を確保した。

稜線越しに警察ヘリが見える。

増援部隊が続いているのだ。

あれから一体、何機が飛来したのか。

単純数だけでは、すでに波動を上回っているはずだ。

火器も圧倒しているかもしれん。

しかし波動の戦意は衰えていないようだ。

でなければこれほど戦闘は続かない。

しかも先ほどから小糠雨が降り始めた。

ただでさえ日が傾いて暗くなっているところに雨だ。

視界も利きにくい木々のなかとくる。

戦術的に天恵は波動にある。

すなわちゲリラ戦にはうってつけの状況なのだ。

木々の切れ間から広場が垣間見えた。

激しく動く警官の姿が見える。

大声でなにかを叫んでいるが、言葉がわからない。

その警官はグッタリと動かない同僚警官を引き摺っていた。

パンパンパンとまた銃声が響いた。

その警官はあっけなく、そこに崩れていく。

また一人、波動の銃弾が人を射抜いた。

もう、驚きもしない。

崩れる姿は、相撲の決まり手のVTRを見るようなものだった。

戦争が人の気持ちを狂わせるとは、このことなのだろう。



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