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鼠の目#476(ほぼ前文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

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波動はカルトである、と一刀両断するのはいい。

しかし、そのことは逆に言えば、盲目的あるいは狂信的に目的を果たそうとする推進力にはなる。

自らの存在や哲学をすべて賭けて、事を進めることが可能なのだ。

概念的な「市民の安全を守る」という職業倫理にたつ警察官のモチベーションとは決定的に異なっている。

ある意味、どこまでいっても警察側はサラリーマンであり、自らが守るべきものが多すぎるのだ。

出世や自己保身は敢闘精神を加速しないのだ。

その点、波動は守るべきは川崎姉妹の指令でしかない。

およそ行動原理に夾雑物がない。

銃をとり、敵を殲滅せよ。

川崎姉妹の言葉が目的であり、唯一無二の指針なのである。

こういう光景が見られた。

広場を対峙点とする主戦闘で、へっぴり腰の警官と、AK47を乱射しつつ突っ切る波動メンバーだ。

警官は上官に叱咤され、拡声器で鼓舞されながら、ジュラルミン盾を前面に立てて進む。

がしかし突撃ライフルの貫通力の前にはジュラルミン盾はあまりに非力であり、ライフル弾に射抜かれた警官を放置したまま退却する。

しかし波動は吶喊の声を叫びながら、ライフルを乱射し、気合で広場を横切った。

鎧袖一触、衆寡敵せず、とはこのことだろう。

すでに広場には強力な投光機が照射されている。

しかし何体かの遺体が転がったままの広場に進捗は見られない。

すでにマスコミは規制線の外側に有象無象に集まっていた。

遠くから聞こえる間断ない銃撃音、拡声器の怒号、警察ヘリの乱舞、垣間見える投光機の明かり、それらにジリジリしながら警察広報官を取り囲んでいた。

なにか発表することはないんですか、と。

唯一の例外は、皆殺しにされたTV局の跳ね上がり記者の一人が、小型ムービーカメラを持って、こっそり規制線を破っていったことだろう。

彼は嫌われ者だったが、じっとしていてもなにもわからない、そのことだけはヒリヒリとわかっていた。



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