鼠の目#371(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

バカは火事より怖い


オレはずっとその覚悟を変えなかった。

臆病といわれれば、その通りかもしれん。

しかし居心地は悪くない。

惚れたの、愛しているだの、面倒極まりないと忌避していたし、関わるつもりもてんでなかった。

男に理解できぬ、いや、少なくともオレには理解不可能な女という存在に対しては、敬して遠ざけるのが一番だった。

いうだろうが。

遠き慮りあれば近き憂いなし、ってな。

ところが現れたのが和田由美子って寸法さ。

一目惚れかい、とかいうんじゃねぇぞ。

顔やボディの良し悪しで判断するほど愚劣じゃねぇ。

前にもいったろ?

突き詰めれば恋愛感情であれセックスであれ、人と人とのコミュケートだ、と。

オレはバカが大嫌いだ。

断っておくが、学歴のことなんかをいっているわけじゃない。

簡単なことさ。

常識や品性といいかえてもいい。

つまり当たり前のことができりゃいいんだよ。

もっともこんなことをくだくだしくいわなきゃいけないくらい、世にバカが跳梁跋扈しているってことだがな。

例えばバカであることを誇るバカがいる。

モノを知らないことを誇ってどうするんだ?

オレはそれがわからない。

そのバカがいいたいのは、ボクって三歳児のような純真無垢なんだよ、っていいてぇのか?

知らなきゃ学習しろ。

知らないまま過ごすより、知ったほうが面白かろう。

例えば子供と一緒にいて、この子に叱られるんですよー、と無邪気にタワゴトを吐くバカ親がいる。

オマエはガキよりバカなのか?

そのガキをオマエが躾けてんのか?

バカが拡大再生産するから、もう親であることをオマエはやめろ。

そうとしかオレには思えん。

バカであることを慫慂するバカ世相にあって、常識は大海の一滴か、とさえ感じる。

その苦々しい思いの中で現れたのが彼女だ。

そう。

和田由美子は極めて常識豊かであり、高い品性があった。