鼠の目#374(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。こすからい古参下士官

ベッド


唇を離し、オレは和田由美子を横抱きに持ち上げた。

腰がミシッと悲鳴を上げた。

鈍い痛みが臀部から膝裏に走る。

クソッ、昔なら軽々と持ち上げていたんだがな。

とにかく、ここが男の踏ん張りどころだ。

繰言をいっても詮はない。

由美子に腰のことを悟られないよう、なるたけ涼しい顔をしてオレの簡易ベッドに由美子を運んだ。

このときばかりは米国製の簡易ベッドにしておいてよかった、と思った。

日本サイズのシングルベッドなみの大きさがある。

ゆっくりと由美子の身体をベッドに置く。

中腰の姿勢に腰が割れそうだ。

由美子の視線はオレを離さず、双眸がフェロモンに潤んでいた。

性の期待。

オレの目もそうなっていたろう。

欲望にぎらついた淫靡な目だ。

しかし、それはそれでいい。

今からやろうとしているのはセックスだ。

勉強でもなけりゃ家事でもない。

男と女が原始に還元される行為なのだ。

そこで取り澄ました常識面を下げてどうする。

確かにオレは常識のないバカが嫌いだ、といった。

しかしな、セックスの際に常識ぶってどうする。

成熟した男と女が合意の上で行う性行為なんだ。

人に迷惑をかけない限り、なんでも好きにやればいいんだ。

SMでもスカトロでもコスプレでも、なんでも。

和田由美子の身体全体から女の匂いがきつくなってきた。

そう。

これでなくっちゃいけない。

牝の匂いこそが雄性を加速するのだ。

征服欲を高めるのだ。

この女を組み敷き、その体内にオレの精液をぶち込んでやる、という原始感情をかきたてるのだ。