鼠の目#375(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

切手


オレはベッドに横座りになり、由美子を見下ろした。

小鼻がふくらみ小さな喘ぎが聞こえる。

唇が軽く開かれ、時々、舌先が顔をだし唇を湿していた。

興奮で乾くのだろう。

「いつか由美子と交わりたい、と心の奥底で意識していたんじゃないか、と思う」

由美子を見下ろしながらいった途端、オレは後悔した。

あー、こんなところで心情を説明してどうする。

野暮も野暮、大野暮だぜ。

度し難い大馬鹿だ。

由美子はオレの逡巡を察してくれたのだろう。

黙って、というとオレに両手を絡みつけ、自らの身体にオレを引き付けた。

自然、オレは由美子に覆い被さった。

牝の匂いと由美子の汗の匂いがオレの鼻を心地よくさせた。

オレの最後の逡巡がサッと消えた。

由美子の中は熱く滑らかにじっとりと湿っていた。

掌に余る乳房の重みが心地よかった。

少し弛緩しかかった腹部の脂肪が、女の漲りを感じさせた。

オレを含んだ口中の唾液の擦過感が愉悦を加速させた。

最後にオレの腰を両腿で強く挟み、さらに貪るように大腰を突き上げた。

子宮壁の奥の奥、オレの堰が崩壊し、大量に爆ぜた。

喘ぎ喘ぎ、呼吸の静まるのを待った。

互いに無言だった。

由美子はオレの懐でオレの手を握り締めていた。

呼吸が落ち着くのと軌を一にして、ハルシオンの薬理がオレの細胞を溶かし始めた。

オイ、これからどうするんだよ、とオレの理が困惑の声をあげたような気がした。

しかし薬理は単なる理より、はるかに強力だった。

いくらもたたぬうち、オレの意識は奈落へ墜落していった。