不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#378(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。こすからい古参下士官

固め


男が長田の正面に立った。

「そういうことだ。御先師様がオマエ風情に知り合いなもんか。これ以上、騒ぐな。騒いだらオレがオマエを黙らせる」

「うるせぇ。チンピラがガタガタいうんじゃねぇ。オレは中に入るぜ」

長田が足を踏み出そうとした刹那、男の手刀が長田の粉砕された掌をしたたかに打った。

ぐあああ、と長田は絶叫し、手首を押さえたまま膝から崩れた。

男は構わず長田の蓬髪を掴み、苦しげな声をたてる口をもう片方の手で塞いだ。

ムンズと首を捻じ曲げると、声を潜めていった。

「静かにするんだ。ガキみたいに泣き喚くな。波動一の腕っぷしが聞いてあきれるぜ。四の五のいわずにテントへ戻るんだな。でなきゃたたき出すぞ」

男は長田より若い分、スピードも膂力も勝っている。

若さという威勢に任せて暴発できるのだ。

若い頃の長田ほどではないにせよ、だ。

蓬髪から手を離し、今度は背中側に逆手で長田の腕を捩じ上げた。

声をたてるな、とドスを効かせながら。

強引に長田を立ちあがらせ、強靭な背筋力をもって長田を押し立てた。

「いいか、ここは波動のキャンプということを一瞬も忘れるんじゃねぇ。オマエの腕っぷしがどうなのか、そんなこたぁ知ったこっちゃねぇ。役にたたねぇのは、ここじゃクズだ。それになにより御先師様にふざけた態度はとるな。わかったな」

男はギリギリと力を込めた。

長田はンググとくぐもった声をあげただけだ。

「聞こえねぇ。どうなんだ、はっきりしろ」

長田の腕が折れる寸前まで捻じ曲がった。

「答えろよ。どうなんだ」

「わ、わ、わ、わかった」

「そうか、じゃあテントに戻れ」

そういうと男は長田を突き飛ばした。

ザザッと地面に身体がすべった。

長田は掌をかばったため、したたかに腰を打った。

ハッキリと殺意が芽生えたのは、この瞬間だった。


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