鼠の目#383(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

恐喝


後学のためにヤクザの恐喝方法を教えといてやろう。

例えばな、あるカタギからヤクザが金を巻き上げようとする。

多分、そのときヤツらは二人で来るはずだ。

なんで二人かは、このまま読んでりゃわかる。

まず恰幅のいい重役然とした男が会話の口火を切るはずだ。

こうこうというわけだから、金を寄越せ、あるいは権利を寄越せ、とね。

それは当然ながら極めて理不尽な要求なのだから、誰しも拒否する。

さ、これからだ。

ヤクザのヤクザたる本質が画然となるのは。

もうひとり、いかにもヤクザ然とした男が暴力の匂いをプンプンさせながら吠え出す。

「てめぇ、黙って聞いてりゃ図に乗りやがって。ナメんじゃねぞ。こっちだてガキの使いじゃねぇんだ。はい、そうですかで帰ると思うなよ」とくる。

大声で。

しかもフトコロの匕首が見えるようにしながら。

常識は当然通じない。

ヤクザなのだから。

まわりの怯えたような視線も居心地が悪い。

助けを求めようにも、誰も後難を怖れて近寄りもしない。

机を叩きつける、聞くに堪えない罵声を浴びせる。

恐怖に支配され、思うように声もでないし、身体は強張ったままだ。

そこで、最初の重役然とした男がとりなすようにいう。

「まぁ、まぁ。そう荒立てても前に進まない。じゃあ、どうです、カクカクシカジカの条件でどうですか」と最初から企図してある落としどころを提示するはずだ。

まず健全な判断はできないだろう。

今、ここにいる二人から逃げ去りたいだけの心情にある。

そこになんとか呑めそうな条件が提示される。

諾ける。

恐喝成立だ。

拒否したら?

簡単さ。

果てしないループが続くんだ。

最終的にヤクザの要求を呑むまでね。