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鼠の目#386(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

バンテージ


すぐに西村が戻ってきた。

手に医療用の添木とバンテージを手にしていた。

長田は、西村君、すまないがといって痛めた手を差し出した。

西村が慣れた手付きで掌と手首を固定した。

それとともにズキズキと周期的だった痛みが、直線的なそれに変わっていく。

痛みは周期的に変化するほうが辛い。

直線的な平板な痛みのほうが、うんと耐えやすい。

「慣れてるな」

「門前の小僧ってやつですよ。一体、何人にこういうことをやってやったか。ここに入って一月ですが、捻挫や骨折なんて茶飯事ですからね。要するに固定して静養する以外に方法はないんですから。ああ、一人いましたね。下まで降ろされたのが。膝の皿が割れちゃって、外科的な手術が必要になりましてね」

「よく判断がついたな」

「メンバーに医者がいますからね。残念ながら、接骨医がいないんですよ…。さ、これで大丈夫じゃないですか」

長田はしっかりと固定された手を眺めた。

いい感じだ。

ゆっくりと親指から順に曲げてみた。

親指、人差指、中指までは動く。

うまい具合に指とリンクする骨には異常がないようだ。

しかし、薬指と小指は脳天を突き上げる痛みで止めざるをえなかった。

この二本がひどくやられているのだろう。

まあいいか、この痛めた左手は利き腕ではない。

ライフルを操作するにしても、右手でオペレーション、左手は添えるだけだろう。

引鉄を引くには、問題ないはずだ。

ライフルを撃ったことはないが、なに、セミオートかフルオートでブッ放しゃいいはずだ。

すまんな、という長田の言葉に軽く会釈し、西村は闇に消えていった。



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