鼠の目#387(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

セレクタ


西村が完全に闇に溶けたのを確認すると、長田は武器庫テントに身体を滑り込ませた。

一丁のカラシニコフを手にした。

想像していたより、それははるかに軽かった。

殺戮用の武器という思いがなければ、強化プラスチック製のちゃちな工具にしか感じられない。

もっとも、ライフルが重く、取り回しに難渋するようでは兵士には使えないだろう。

見た目の重厚さより、軽く、堅牢で、なによりも操作性が高くなければならない。

バンテージで固定された左手で銃身を固定する。

銃床を右肩につけ、右手で引き金に手を入れる。

思わず引き金を引きそうになり、あわてて引き金から指を離した。

フーッという大きな溜息がでた。

せめてセイフティがロックされていることぐらい確認しなきゃな。

長田はしげしげと銃のボディを眺めた。

マガジンの上部にSAFETYと記載があり、クリック式のレバーがついている。

多分、これがそうなのだろう。

LOCKとREREASEとある。

直感的に操作できるようになっているのだ。

なるほどな、と呟き、セレクタレバがセイフティロックの位置にあることを確認した。

再度、銃床を肩に当て、照準と照星を合致させる。

半端な知識だがこれでいいはずだ。

無論、銃個別の弾道のズレはあるはずだ。

しかし、そんなことを調べたって、クソの役にもたたねぇ。

こんなことは頭や事前準備でやるもんじゃない。

最後は度胸でブッ放せるかどうかだ。

気合でいきゃいいんだろうが。

長田の頭は、まず川崎姉妹の居室を警護していた男を殺すことで一杯だった。

都合のいいことに、ライフルもある。

それに派手にドンパチも目前のようだ。

ドサクサに紛れて、あの警護野郎をブッ殺してもバレやしないさ。

長田は凄惨な引き攣った表情をした。