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鼠の目#362(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。こすからい古参下士官

満月


オレに続いて和田さんも立ち上がった。

「明日から暫く覗けないかもしれんが、悪く思うな。仕事でね」

「あら、お気遣いいたみいります。いいわよ、そんなこと。バカ金を落としてくれるいいお客さんだけど、この店を贔屓にしていただけるお客さんもまだまだいらっしゃるんだから」

マリーがウィンクした。

ウィンクなんざ何年ぶりだ?

久しく見たことがないぜ。

じゃ、な、とオレは小さく手をあげて、踵を返そうとした。

すると、マリーが和田さんにサムアップをした。

なんだ?

なんかいいことでもあるのか?

チェッ、これだからオカマはわからねぇ。

ちゃんと送るのよ、とオレの背中にダメ出しが当たった。

「わかってるよ。いちいちうるせぇんだよ」

と捨て台詞を残し、オレと和田さんはドアの外に出た。

明日の快晴を約束するような月が出ていた。

どうにもこそばゆい情景だぜ。

安手の日活映画じゃあるまいし、勘弁してくれよ。

まあ、和田さんと一緒にいることは決して不満ではないのだがね。

「さて、と。タクシーでも拾うかね」

「不眠症のあなたは、まだ眠くないんでしょ」

「ああ、そう。まだハルシオンを服んでないしね。いつものことさ。熟睡なんて、中学生の頃以来、忘れた」

「よければ歩かない?」

「いいよ。和田さんさえよければ。でも店では疲れているように見えたが、大丈夫なのか」

「大丈夫。で、ね。お願いがあるんだけど」

和田さんがオレの正面にまわって立ち止まった。


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