不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#392(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

地図


「一点、オマエに教えてやる。よく聞いとけ」

山下の口調が改まった。

「明日、県警と公安、合同で山に入る。先発隊として少人数が山に向かった。軍隊用語でいえば斥候、だ。その報告をうけて派遣部隊を編成する。それで本格的な出動は明日、ということになる。オマエたちも山に向かうんだろ?」

「ああ。先発隊に少し遅れるが」

「できれば、先発隊と出会いたくない、そう思っただろ?」

「そう。会えば追い返されるのは必定だろう」

「反対から入れ」

「え?」

「先発隊は通常のトレッキングルートから入る。今、地図があるか?」

ちょっと待ってくれ、とオレは受話器を置き、書棚から大縮尺の地図帳を取り出した。

あの神さびた土地付近の地図を広げた。

いいぜ、地図を広げた、と山下に伝えた。

「波動のキャンプ場所はわかっているな?」

「正確ではないかもしれんが、それほどの誤差はない」

「そこに行こうと思えば、どうする?」

山下刑事のの問いに、オレは素直に答えた。

車でJR幹線から伸びた枝線の終点、そこから登山口まで入る。あとは歩きだ、と。

「そのルートで先発隊も入る。誰でもそうするだろうからな」

「うむ」

「そのルートはその土地の西側から侵入することになる。オマエたちが、先発隊に出っくわさないためには、東側から入るんだ」

地図を見ると、東側はその山地の脊梁、核心部分にあたる。

東から入るためには大きく南側へ迂回し、さらに廃道にちかい林道を北にあがり、そこから先は…地図ではよくわからない。

「どういうルートなんだ?」

「質問はなし、といったろ。第一、それくらい自分で調べるんだな。便利屋なんだろ、オマエは?」

そうだ。

そうだった。

迂闊な発言だ。

「すまない。情報に感謝する」

「ついでにもう一点だ。鼻の利く新聞記者が動き始めた。ネタ元は知らん。署内は厳重な緘口令だが、ひとの口に戸は立てられん。そこも考えとくんだな」

「しかし、山下刑事。なぜそこまで教えてくれる」

「定年前刑事の逆上ってこったな」

それだけいうと、電話が切れた。



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