不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#393(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

爆発


「慌しそうじゃん」

ケンスケが顎を撫でながらいった。

「終章へ向かってカデンツア、ってことじゃないか」

オレは受話器をフックに戻した。

「それはないだろ。まだ終わりもなにも、始まってないぜ」

確かにそうだ。

ケンスケのいうとおりだ。

終わりがあるとしても、今は終わりの始まり、あくまでトバ口に過ぎない。

蠢いていたカオスが一点に向かって収束しつつあるように思える。

それも建設でなく、破壊。

徹底無残な破壊。

巨大なエネルギーが一気に弾けそうな気配だ。

その予感はケンスケにもあるようだ。しきりに顔を撫でている。

「ケンスケ。おまえもなにか感じるか?」

「ああ。愉快な予感はたたねぇな。外人部隊の頃、乾坤一擲の白兵戦がおっぱじまる時のような気分だな」

「しかし、オレたちはオブザーバーのはずだぜ」

オレはハイライトに火をつけ、その火をケンスケにも進めた。

「傍観者ですむと思うか?」

「すませたいがな。オレたちも当事者とならざるをえないか?」

「わからんが、用心するにこしたことはない」

ケンスケはパッケージから取り出したセイラムに火を点けた。

「オレはオブザーバーで終わらせたいんだがな」

「和田さんはどうするだろう」

「わからん。暴走は身体を張ってでも止める」

「できるか?」

「できる、と思う」

「和田さんだぜ、相手は」

「わかっている」

そうか、といってケンスケは並びのいい白い歯を見せた。

オレと和田さんのことに気付いている、そう思わせる微笑だった。



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