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鼠の目#394(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

タイムズ


ケンスケは新聞を広げて見ている。

やはり、文化面の波動の記事をじっと眼で追っている。

視線が最後の行を通過した。

読んだか、とケンスケがいった。

「ああ。学者先生のご高説はどうあれ、これから起きるであろうことを予言した名論文ってことになるんだろうな」

「ちがうね。そうじゃない」

「というと?」

「こういうテーマで書かせようとした、記者の慧眼さ。第一、このスペースを提供したのは、この新聞社だからな。つきつめればそれがミもフタもない事実だろうぜ」

「そういえば、山下刑事も、マスコミの一部が動き出した、といっていた」

「総じて、新聞記者なんてのはどうしようもない夜郎自大が多いけどね、たまにとんでもなく鼻とフットワークが利くやつがいる」

「いずれマスコミの大集合ってことになるだろう」

「ああ。すごいぜ、きっと。公安や警察もウカウカしていられない。ヤツラはマスコミに叩かれるのを極端に嫌う」

「習い性だ」

「だろうね」

「大騒ぎになる前に、収束させたいという公安のバイアスがかかるだろう」

「メンツってやつね」

「彼らのメンツが発露される前にカタをつけなきゃいけない」

ケンスケが沈黙した。

なにかを思いつめるような沈黙だった。

時間にすれば僅かだったかもしれんが。

ケンスケが口を開いた。

「有体に尋ねるけど、いったいカタをつける、ってアンタ、なにをどうしたらカタをつけることになるんだい?」

核心にいきなり、ナイフ刺しこめられるような問いだった。



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