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鼠の目#396(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親



「なぜだろう、とオレは考えた。いまさら川崎真理子奪還はない。すでにアンタは報酬も手にしている。まさか川崎真知子が返してくれ、なんていうわけがない。いや、依頼したことすら忘れているだろう。じゃあ、なぜ川崎真理子がアンタに川崎真理子の奪還を頼んだのか」

そこまでいうと、ケンスケは空になった梅昆布茶の底を啜った。

「こうは、考えられないだろうか。川崎一族、ひいては波動をもって行われることのプロバガンダの尖兵にアンタが選ばれた、と」

「オレが?プロバガンダ?ピンとこねぇがな」

「本来のプロバガンダなら、合法的にはPR会社を使うなり、カンパニア活動であったり、あるいはネットで、ということもあるだろう。しかし、波動本来にある胡散臭さが、アンタに向かわせた、ということじゃないのか。要するに誰でもよかった。波動として、これから起こすことの同時目撃者を拵えておきたかった。そう考えると、かなりスッキリしてくる」

なんだ?

どういうことだ?

一体に、ケンスケという男、無愛想を絵に描いたような男だが、判断は極めて明晰だ。

ただ、意を尽くすのが面倒なんだろう、言葉を端折るくせがある。

こんなこと誰でも知っているだろう、と。

ところが、彼の思う「誰でも知っていること」が、前提として理解されないと、話が前に進まないのだ。

「よくわからんな、ケンスケ。もう少し説明してくれ」

うーん、どう説明すっかな、とケンスケは頭頂部を撫で続けた。

「じゃあ、とにかく思ったことを順に説明しよう」

ケンスケの説明はこういうことだった。



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