不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#363(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

路地


「できることか、それは?」

「ごくごく簡単なこと」

「なんだろうか」

「和田さん、という距離感のあるいいかたはやめて欲しいの。あなたはそんなことはない、と仰るかもしれないけれど、疎外感を感じてしまうの」

「疎外感?そんなことは…」

「そう。わたしがオミットされているとまでは思わないけれど、気を使わせているような負い目はあるのよ。わたしには由美子という名前があるわ。由美子、って呼んで欲しい」

「由美子、か。なんだか照れ臭いな」

「なぜ?サン付けで呼ばれているのはわたしだけ。少なくとも今回の一件では、わたしはケンスケさんなどと同じ、ユニットの一員だと思ってる」

「まあ、確かにそうなんだが。どうもね。肉親くらいしか下の名前で呼んだことがないんだ。その肉親、係累にしてもほとんどいないしな。慣れてないんだ。それに…」

「それに、なに?」

えー、つまり、なんだ、そのー、とオレはしどろもどろになってきた。

「あー、はっきりいうとだな、和田さんを由美子と呼ぶと、一気にオレのコラエ性が崩れそうな予感がある」

「コラエ性が崩れるってどういうこと?」

簡単さ、オレが和田さんを、いや由美子を愛しているということが、否が応でも意識せざるをえないじゃないか…といいたかった。

愛してるだの、好きだの、そういう面倒に関わりたくないんだ、だからオレは和田さん、と呼ぶんだ。

あなたのいうとおり、距離感を保つためにね…といたかった。

そのことを拳拳服膺するための呼び方なんだ…といいたかった。

オレの本質はウェットで女々しい性質なんだ…といいたかった。


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