不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#406(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

演習

驚いた。

ちょっと待てよ、ウソじゃねぇのか?

次の一歩を踏み出したとき、オレは間違いないと確信した。

オレのことに気付いたのだろう、その男はオレの方を振り向き、白い歯を見せて笑った。

確信は誤っていなかった。

「マリー。なんでこんなとこにいるんだ」

オレは素っ頓狂な声をあげた。

「え。マリーさんって…、あら、いやだ、ほんとにマリーさんじゃないの。どうなさったの」

由美子もキツネにつままれたように、目を丸くしている。

「陸上自衛隊・第一混成団・予備役・丸田二等陸曹であります」

敬礼とともに、マリーが決然、いい放った。

そのあと、照れたように耳のあたりをかいた。

「丸田って…マリーの本名か」

「そうだ。丸田の丸をとって、みすぎよすぎの商売にはマリーと名乗っている」

「しかし…なぜ、マリー…いや、丸田陸曹がこんなとこにいるんだよ」

「ああ、そのことはいまケンスケからも聞かれている。どうせ同じことをオマエも聞くだろうと思ってな。何度も同じ説明をするのが面倒でね、アンタや由美子さんが現れるまで待ってたんだ」

マリーは手に持ったペットボトルのお茶を一口含んだ。

「気紛れさ、おおかたね。ここ何日かの店でのハナシ、アンタやケンスケ、由美子さんに山下刑事、そんなハナシを聞いてたら、陸自あがりの血が滾ってきたってことだな、多分。ここ久しく飛んだり跳ねたりしていないんでな、演習の後の爽快感を味わいたいと思ったのさ」

ホントかい、とケンスケがいった。

「ああ、そうさ。ケンスケなら余計にわかるだろ。時に憤怒のようなパトスが迸る瞬間を。理屈じゃないんだな、これは。頭でなく、手と足を使い、背筋力でしのいでいく瞬間瞬間の積み重ね。あー、オレは生きているとおもえるもんなんだ。そうだろ、ケンスケ?」

その問いにケンスケは無言で頷いた。



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