鼠の目#407(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

お茶

「しかし、マリー。改めて聞くがその格好から推察すると、まさかオレたちと同道しようってんじゃないだろう」

「いや、そのまさか、だよ。同道するつもりだ」

「なぜ」

「何度もいわせるなよ。行きたいから行く、それ以上でも以下でもない」

「理由は?」

マリーはどうしようもないな、という意味をこめるように、下を向いて頭を振った。

「行きたいから行くんだ。それ以上の意味はない。だから髪も朝一番に切った」

確かに、マリーの頭髪はバッサリ切られている。

坊主頭に近い。

年相応に白いものが混じったごま塩頭だ。

だが、しかし、とオレがいいかかったのをマリーは手で制した。

「ガチャガチャいいっこなしだ。野外を飛び跳ねる訓練は、ケンスケにはかなわないかもしれんが、アンタなんかより、はるかに上だ。なんといっても、オレには実戦経験がない。演習場で実包をブッ放した程度だからな。キワになればケンスケのような動きはとれんかもしれん。しかし、役にはたつぜ」

「役に立つ、とは?」

「おいおい、いまさら空っとぼけるなよ。波動のキャンプに乗り込むんだろ?まさかオマエたちが波動とコトを構えなくても、警察や公安との揉め事に巻き込まれるのは必定だ。それを予想するが故の格好だろ?オマエもケンスケも由美子さんも」

日差しが強烈になってきていた。

マリーはもう一度、ペットボトルの茶を一口飲んだ。

「ケンスケの段ボールはミネラルウォーターだな。それにオマエが持っているのが乾燥食品ってとこだろう。だめだ。そんなんじゃ。オレが用意した。これだ」

マリーが首を倒してカローラの後ろに置いてある段ボール箱を示した。