不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#409(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

ランタン

夜の闇の底に、少しだけ光の胎動が見え始める頃、長田は目を覚ました。

乾電池式の明かりが、わずかにテント内を照らしている。

周りのコットには若い波動のメンバーが熟睡していた。

音を立てぬよう、静かに長田は身を起こし、自分のバックパックを手にした。

隣には、ちょうど似通った体型の若者が寝ている。

長田は若者がコットの脇に脱ぎ捨てたブーツとソックスを失敬した。

そろそろと這うようにしてテントの外に出た。

テントから漏れ出るかすかな光を頼りに、ソックスとブーツを履く。

西村が処置してくれたプレートのおかげだろうか、思ったより簡単に履くことができたし、なによりサイズがぴったりだった。

足が軽くなると、気分もいい。

長田はそのまま、武器庫ともいえるテントへ入っていった。

そこも電池式の保安球が頼りない光を放っていた。

カラシニコフと実包が整然と並んでいる。

長田は一番手前に置いてあるカラシニコフと、弾装マガジンを数個取った。

マガジンの一個はカラシニコフに装填し、残りはバックパックに放り込んだ。

さらにライフルのセレクターがセイフティになっていることを確かめた。

テントの隅にペットボトルのミネラルウォーターとチョコレートバーがあった。

ついでにそれらも頂戴し、バックパックに放り込む。

代わりにサバイバルナイフを取り出し、腰に佩いた。

バックパックはそのまま背負う。

同様に、カラシニコフをたすきがけに肩に下げた。

長田はニヤリと笑った。

おう、こりゃ正真正銘の兵士だぜ、それもとびきり上等のな。

オヤジも満州じゃきっとこんな風にキリッとしてたんだろう、とほくそ笑んだ。

さよう、長田の父親は、川崎徳一や滝川順平を徹底していたぶった上島上等兵なのだ。

それが戦後の長い空白のあと、この神さびた土地で邂逅している。

川崎と上島・長田の上下関係は逆転こそすれ、戦争という狂気、カルトという狂気、いずれも常識では推測不可能な空気の中で、である。



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