不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#411(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

森

森は獰猛なほどに広葉樹が繁茂している。

一歩中へ入ると、夜明け前の僅かな光はまったく届かない。

長田みずからの夜目だけが頼りだ。

錯節した根や枝に何度も遮られながらも、長田は男の襟首を掴んだまま、強引にヤブをこいでいった。

ライフルとバックパック、それと死体の重さに息があがり、ゼイゼイと肺がなりだすと、長田はそこで止まった。

なにがなんでも死体を隠さなければならないことはないのだ。

どうせ夜明けとともに、なにかとんでもないことが始まる。

暫くの間、この死体が発見されなければいい。

闇もずいぶん明るくなってきている。

ライフルとバックパックを地面に置くと、足元のわずかな窪みに男の死体を蹴りこんだ。

サバイバルナイフの突き立ったシャツの胸あたりは、血で染まっていた。

男の目が恨めしげに開かれていた。

長田はその目に向かい、唾を吐きかけた。

死者を冒涜するえげつない快感だ。

さらに手近な枯れ枝や落ち葉をかき集め、死体をカモフラージュする。

まあ、いいだろう、こんなもんで。

こちらから見ても、波動のキャンプはまったく視認できない。

それなりの距離を運んできたのだろう。

うまい具合に、死体を引き摺った後もハッキリしない。

なにもかも好都合だ。

長田は蓬髪を掻いた。

バックパックからミネラルウォーターを取り出し、一気に半分ほどを飲んだ。

それまでの異様な喉の渇きがとまった。

さらにチョコレートバーのパッケージを破り捨てた。

うまいもんではないが、腹の足しにはなる。

立て続けに二本、腹に収め、残りのミネラルウォーターを流し込んだ。

ペットボトルはバックパックに戻した。

どこかの湧き水で補給せねばならぬだろう。

波動のキャンプに戻る気はない。

暫くは高みの見物だ。

それから、いずれ折をみて、川崎真理子と話をしなきゃならん。

拒否したら?

強引に犯してでも話をするさ。

オレを舐めるヤツは赦さねぇんだよ。

長田の顔が凄惨に歪んだ。



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