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鼠の目#365(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

ラブホ


わたしね、と和田さん、いや、和田由美子が切り出した。

本当は由美子、というべきなのだろうが、そう簡単にはいかんよ。

恥ずかしくってたまらんぜ。

深夜の路地裏には闇と明かりが交互にうずくまっている。

オレと、えー、えー、ゆ、ゆ、由美子は肩を並べて歩いている。

くそっ、まるでCXのドラマだな。

もっともテレビはまず見ないから、そういうことらしい、という単なる受け売りだがな。

手持ち無沙汰とはこのことだ。

なにをいってもオレの望む方向になりそうにない。

だって、そうだろう。

オレも和田さん、あ、もういいじゃねぇか、今んところ「和田さん」というほうがピッタリくるんだよ。

えー、だからだな。

今は深夜、だぞ。

しかも相手は深く傷ついた女性だぞ。

酒だって飲んでら。

で、さらに、オレ自身が惚れてるということを意識しているんだ。

それが身体を寄せ合うように歩いている。

オレだってそこまで石部金吉、唐変木じゃねぇ。

粋じゃねぇかもしれんが、空気ぐらい読めらぁ。

今のシチュエーションは極めてマズイことになってんだよ。

オレのコラエ性が腰砕けになりそうなんだ。

コラエ性だけがオレの矜持なんだ。

一線を踏み外しちゃイカン、ってな。

有体にいや、今日日のガキじゃあるまいし、ホイホイホイホイ、女と同衾したいなんて思うんじゃねぇ、ってこった。

恥ずかしみや慎みをなくしちゃ、常識ある大人といえるわけねぇじゃんかよ。

おっといけねぇ。

和田さんが、わたしね、と切り出したあとのことだったな。



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