不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#420(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

湧き水

長田は眠り込んでいた。

川崎姉妹を警備する若者を刺し殺し、そのまま森の中へ引き摺っていった肉体と精神の疲労が、睡魔という形で現れたのだろう。

申し訳程度に枯葉でカモフラージュした若者の死体からそう遠くない位置だった。

わずかにせり出した岩が庇となり、格好の寝場所だった。

木漏れ日が長田の顔を照射した瞬間、その眩しさに長田は目覚めた。

すっかり明るくなり、あわてて腕時計を長田は覗き込んだ。

昼に近かった。

ずいぶん長時間寝込んでしまったことになる。

睡眠は長田の体力をすっかり回復させていた。

ケンスケに砕かれた左手の痛みも、気にならない程度になっている。

せせらぎの音が耳に入る。

森の細流が近くを流れているのだろう。

長田は身体を起こし、音のする方向へ向かった。

それはすぐにわかった。

岩の裂け目から水が流れ出している。

これぞミネラルウォーターだ。

長田はその流れに直接口をつけ、ゴクゴクと飲んだ。

さらに空のペットボトルに水を詰め、ついでに顔も洗った。

目やにが流され、気分がいい。

さあ、これからだな、と長田は直感した。

キャンプ方向へ戻る。

キャンプが見通せる場所にたどり着いた。

これから高みの見物といくのだ。

舞台も主役は後で登場するんだ、と長田はほくそ笑んだ。

キャンプの空気が張り詰めている。

警備の若者がいなくなったことに気付いたのかもしれない。

また、武装蜂起が近いことも、緊張をさらに加速しているだろう。

何人かの若者の肩にはカラシニコフが担がれていた。

すべてのものがこの神さびた山間のキャンプに集中しはじめている。



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