鼠の目・これまでの梗概

夜明け前の闇の底に若い女が二人蠢いている。
川崎真知子、真理子の姉妹だ。
白装束のドレープが闇にほの白く舞っていた。
「姉さん、今日が最後みたいね」
「だと思うわ。でもあなたが波動におけるもっとも神聖な存在なんだから、取り乱しちゃだめよ」
「わかってるわ。醜悪なな勝利より、美しき敗北を選ぶわ。姉さんもでしょ」
「当然じゃない。城を枕に討ち死に、ってことかしら。あら、喩えが古すぎるわね」
姉の言葉に妹・真理子は嫣然と笑った。
「文龍名は大丈夫かしら。あれもかなりの年だから」
「心配しても詮ないことよ。あと一日もないわ。最後の力を振りしぼるでしょう」
「兵士たちは?」
「さあ。すべて文龍名が把握しているでしょう。あ、そうだわ。夕方、闖入しようとしたのは長田でしょ?会ったことはないけど、画像で見たことあるわ。印象は人格陋劣そのものな男ね」
「そもそも不潔だわ、長田は」
「会ったことがあるみたいね」
「そう。寝たこともあるわ」
「寝た?あんな汚い男と?」
「仕方がなかったのよ」
「なぜ?」
「和田洋子を殺させるため。怖気が来るほどイヤだったけど、抜いてやれば簡単に殺人を請け負うと思って。無論、翌日、和田洋子は死体になった」
「和田洋子は障害になってたのかしら」
「彼女はわたしの地位を簒奪しようとした。波動の乗っ取りをはかったの」
それは川崎真知子も初めて聞く話だった。


夜明け前の闇の底に若い女が二人蠢いている。
川崎真知子、真理子の姉妹だ。
白装束のドレープが闇にほの白く舞っていた。
「姉さん、今日が最後みたいね」
「だと思うわ。でもあなたが波動におけるもっとも神聖な存在なんだから、取り乱しちゃだめよ」
「わかってるわ。醜悪なな勝利より、美しき敗北を選ぶわ。姉さんもでしょ」
「当然じゃない。城を枕に討ち死に、ってことかしら。あら、喩えが古すぎるわね」
姉の言葉に妹・真理子は嫣然と笑った。
「文龍名は大丈夫かしら。あれもかなりの年だから」
「心配しても詮ないことよ。あと一日もないわ。最後の力を振りしぼるでしょう」
「兵士たちは?」
「さあ。すべて文龍名が把握しているでしょう。あ、そうだわ。夕方、闖入しようとしたのは長田でしょ?会ったことはないけど、画像で見たことあるわ。印象は人格陋劣そのものな男ね」
「そもそも不潔だわ、長田は」
「会ったことがあるみたいね」
「そう。寝たこともあるわ」
「寝た?あんな汚い男と?」
「仕方がなかったのよ」
「なぜ?」
「和田洋子を殺させるため。怖気が来るほどイヤだったけど、抜いてやれば簡単に殺人を請け負うと思って。無論、翌日、和田洋子は死体になった」
「和田洋子は障害になってたのかしら」
「彼女はわたしの地位を簒奪しようとした。波動の乗っ取りをはかったの」
それは川崎真知子も初めて聞く話だった。

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