不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#427(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

聖書

「わかるの、そういうことが?」

「霊的な感覚があれば、必ずわかるわ。でなきゃ、わたしたちが今日、美しき敗北を迎える、とは考えもつかないでしょ。今日のことはもう、確信に近いの。わたしも姉さんも文龍名もみな、間違いなく土に還るわ」

「それはわたしみたいな人間にもわかるわ。でも、今はそんなことはいいの。それで、和田洋子と会ってどうなったの」

「彼女は宮崎一平の布教活動を苦々しく思っていたわ。だけど、その布教の中味を聞くうちに、興味が湧いてきたみたい。波動のメンバーのまず全員が引きこもりがちな人間だけど、彼女は違った。堂々、正門から、ここの教義を教えて下さい、と現れた。高男兄さんも困ったでしょうね。高男兄さんは教義よりビジネス、だから。それでたまたま居合わせたわたしに会わせたのね。高男兄さんも彼女の精神的気高さに押し切られちゃったみたい。それが本当に霊的存在である人間の有無のいわせぬ力ね」

一旦話を切ると、真理子は髪を掬い上げ、続けた。

「和田由美子は時節の初対面の挨拶もそこそこ、いきなり教義の核心をついてきたわ。東アジアの統一祭祀ってなんなのでしょう、って。わたしビックリしたわ。だって、そこらあたり、メンバーには適当に誤魔化していた。取りまとめて破綻のないよう成文化する作業も、文龍名にいわせると、まだ時間がかかりそうだ、といってた。だって、そうでしょ。ここの組み立てができないと、波動そのものの存立意義が見えない。中心、つまり本尊ね、それのない信仰はないわ…」

「適当にうっちゃれる相手ではない、とわたしは覚悟を決めた。正直に話したの、なにもかも。それはまるで告解をしているみたいだったわ。和田由美子が神父でわたしが信者、そういう役割だった…。つまりそれほど彼女の霊的な高さは図抜けていたの。とてもかなわなかった。洗いざらいしゃべったわ。最後に、彼女、そう、ありがとう、と微笑んだ。このときね、負けた、と思ったのは。そして仄かな殺意が芽生えたのは」



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