不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#366(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。こすからい古参下士官

ロープ


はっきりとオレの本音でいえば、それからのことは語りたくない。

語りたくはないが、ここまでガマンして付き合ってくれた諸君らへの義理もある。

義理を欠いちゃ、人間オシマイだ。

やむをえない、と観念している。

なるだけ冷静に語るから、まあ、聞いてくれ。

わたしね、と和田さんが切り出してオレを見た。

ん?

どうかしたのか?

とオレはいった。

視線をはずして前を見据え、和田さんが語り始めた。

歩みのペースはまったく変わらない。

「洋子がああなっちゃって、実をいうと、わたし最初に考えたのは自殺だったの。生きていく意味なんてないわ、って。だからさっさと死んでしまえば楽だろうな、って思った…」

オレはウム、と答えただけだ。

仕方がないだろう、自殺を考えてしまうのは。

そんなことはない、まだまだ生きてがんばろう、なんておためごかしはいえんよ。

絶望の果てが自殺というチョイスはありだ。

人間、生きる自由もあるが、始末をする自由だってあるはずだ。

「それでね…昨晩、ロープを鴨居に引っ掛けてみたの。それで輪っかも作ったわ。ああ、ここに首を入れて椅子から飛び降りればOKなのね、って思った。でもね…やめちゃった。なんでかわかる?」

「いや、わからん。まだ自殺を思い立ったことがないんだ」

「そうよね。わたしもあなたの立場だったら、そう答えるしかないわ」

「で、なぜ思いとどまったんだ?」

「苦しそうだったから」

「苦しそう?自殺だから、そりゃ苦しいだろうぜ」

「その通り。そんな思いをして死ななきゃならないことってなんだろう、って思い直したの。洋子も長田に殺られたときは、ほんとに苦しかったと思う。その苦しみを長田に味合わせられるなら、それはそれでよしとするけど、わたしが仮に自殺するなら、まず長田への復讐を済ませてから、と気付いたの。それに苦しみから逃れるためにさらに苦しいことをやらなくちゃいけないというのは、ちょっとヘンじゃないかな、って」

「ふむ。ずいぶん乱暴な気もするが、説得力は感じるな」



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