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鼠の目#430(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

コンパス

行き止まりの林道でクルマを降りたオレたちは、それぞれに身支度を整えた。

靴紐を締めなおし、レーションやペットボトルをバックパックに放り込んだ。

オレとケンスケは煙草も忘れない。

さらにオレはバーボンを詰めた小型のペットボトルもパッキングする。

いつもならチタン製のフラスコにするのだが、少しでも軽い方がいい。

第一、これはピクニックでなく、事件を見に行くのだから。

オレはハイライトに火をつけ、煙を肺に送り込んだ。

ケンスケもクールを吸い込んでいる。

しばらくこのハームフルな煙を吸い込めない。

まあ、オマジナイでもいいし、ニコチン補給でもいい。

短くなった煙草を携帯灰皿に捻じ込む。

「さて、行くか。廃登山道でわかりにくいが、おおよそ二時間の行程とふんでいる」

「地図とコンパスはあるのか?」

マリーがプロフェショナルな質問をした。

「大丈夫だ。国土地理院発行のやつとGPS、それに軍用コンパスがある」

「了解」

じゃ、行くか、とケンスケの促す声がした。

返事の代わりに、一歩前へ足を踏み出す。

オレたちはカオスが収縮する地点へ歩き始めた。

いくらも歩かぬうちに、登りが急になってくる。

さきほど駐車場で出会ったTV中継車が回った山塊の西側はアプローチは多少長いが、傾斜はなだらかだ。

しかしオレたちが歩く東側は急峻な登りになっている。

そのために登山者連中から敬遠される道になっているかもしれない。

わずかに酔狂な登山者がつけた踏み跡をチェイスすることになる。

右手に渓流の音を捉えながら、ゼイゼイと登っていく。



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