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鼠の目#431(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

GPS

苦しい急登は、ひたすらゆっくり上がることだ。

息が切れない程度に、ペースを落とすことだ。

周りを見渡すと、オレのペースが一番遅い。

由美子も平気な顔をしている。

ケンスケは現役、マリーの体力には陸自次代に積み重ねた利息がある。

オレ一人の息が上がり始めている。

平生の深酒と煙草がそうなんだろう。

フィットネスクラブなんてハナからバカにしているしな。

「ゆっくりでいいんだぜ」

ケンスケのありがたいお言葉だ。

「すまんな。初老にはチトこたえる登りだ」

「急いでいるわけじゃないからな、あんたのペースでいい。つきあうよ」

チェッ、オカマにまで同情されちゃ、フリーランスの便利屋稼業が泣くぜ。

しかし、強がりをいっても始まらない。

オレは、ああ、と答え、さらに踏み出す足のペースを落とした。

途中で一度水を飲んだ。

ほぼ小一時間、急な登りをつめると、ヒョイといわんばかりに稜線に出た。

「ほほう、ここが尾根の稜線になるんだな」

少し先に露岩があり、格好の休憩場所になっている。

「あそこで小休止だ。水と少しカロリーを摂ろう。位置も確認したい」

マリー、そう陸上自衛隊・丸田陸曹がスパッといった。

露岩の周りの日陰で水とチョコレートバーを齧る。

シャリバテと脱水が一番いけないのだ。

腰は下ろさない。

おろすと途端に動き出すのが億劫になる。

マリーがコンパスと地図、腕時計を使って位置を確認していた。

いや、この場合は丸田陸曹と呼ぶほうが相応しいかもしれん。

「GPSの方が簡単だろ?」とオレはマリーに問うた。

「それはそうだが、やりなれたやり方が一番だ。第一、アナログは故障しない。確認の意味でGPSも使う」

地図をしばらく睨んだあと、GPSでデジタル的位置を確認する。

「あと、ここから5キロ、というとこだな。稜線沿いに行く。等高線と目視で確認する限り、きついところはないはずだ」

ほほう、さすがに陸上自衛隊あがりだ。

判断と言葉にまったく躊躇がない。



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