鼠の目#433(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

トランシーバ

さて、諸君、時は来たようだ。

西側登山口に配した斥候メンバーから、警察車両から数十人の制服警官がこちらに向かった、という連絡があった。

捜査容疑はなにかわからん。

おおかた重箱の隅をつついた軽微な犯罪とも呼べぬ容疑だろう。

彼ら警察にとって、最大の目的はわれら波動のガサ入れにほかならないからだ。

さらについ先ほど、民放キィ局の中継車両も現れたという報告を受けた。

わらわれは蜂起することが目的ではなかったが、これもやむをえない。

義に殉じる死があってこそ、われら波動の崇高な理念が将来にわたって継承されるからだ。

われわれは醜悪な勝利は望まない。

壮絶なる死のみを求める。

波動に醜悪という言葉は相応しくない。

文龍名は一度そこで言葉を区切ると、後方の川崎姉妹を振り返った。

諸君。

われらが御先師の川崎ご姉妹も決意されている。

お二人も前線一兵士として闘われる決意だ。

そのことは先ほど三人で確認した。

無論、われらの任務はお二人をお守りし、波動の輝かしい理念を、血脈を累々と伝えていくことにある。

無謀な戦いになるだろう。

いくらわれらわれが軽武装しているとはいえ、彼ら警察や公安の火力、人員、兵站にかなうはずはない。

そのことは冷静な判断力ではなく、事実として受け止めなくてはならない。

しかしわれわれが勝る点はある。

波動への忠誠と敢闘精神だ。

腰抜けサラリーマン警官とは志が圧倒的に違っている。

そのことを常に想起されたい。

いかに苦しい場面がこようとも、われわれは波動という宇宙の本質とともに常にある、ということを。