鼠の目#437(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

太陽

文龍名はさらに声に力をこめた。

諸君。

波動の崇高を断固、貫徹するために、われわれは銃を取らねばならない。

無謀であるかもしれない。

さらに生命の保証もない。

諸君らに残されるのは来るべき波動の覇権がなされたとき、先駆的に立ち上がったわれらの崇高な精神と、墓標でしかない。

しかし、諸君。

これだけは伝えておきたい。

だれかがなさねばならない使命であったのだ、と。

人類の覚醒のために、われわれが蜂起したのだ、と。

正義はわれらにある。

大義もわれにある。

死を怖れるな。

われわれは巡礼者であるのだ。

そこで文龍名は一旦、話を区切った。

さらに全体を睥睨するかのように、鋭い眼光を全体に放った。

「それでは諸君。諸君らのために川崎御先師より話がある」

そういうと文龍名は壇をおり、川崎真理子を促した。

川崎真理子はゆっくり、粗末な壇にあがった。

沈黙。

川崎真理子は塑像のように固まったままだ。

行き詰るような沈黙が続く。

徐々に人差指を立てた右手を天に向かって突き上げた。

その人指し指が過たず、中空の太陽を指した。

「全宇宙の光と波動により、あなたたちは祝福される」

まるでそれが合図であるかのように固唾を呑んで見守っていた若者たちが、獣のような雄たけびをあげた。

その雄叫びはキャンプに近づきつつあった山下刑事や、オレたちの耳にも入ってきた。