鼠の目#442(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

PFLP

オレと由美子はさらに姿勢を低くし、ほとんど這うような格好で先行の二人のところへ寄っていた。

片膝をついてマリーが示す方向を見た。

若者が一人、立ち木に沿うような格好で下方を眺めている。

肩にはライフルがかけてある。

若者の視線の先には波動キャンプがあるはずだ。

さきほどの光景を想起すれば、警察のガサが始まっている頃だろう。

わずかにそれらしい声も聞こえる。

そう遠くはないことが、このことでもわかる。

マリーが少し離れようと合図した。

音を立てぬよう、そろりと離れようとした。

そのときだ。

ピシッ、という乾いた破裂音がした。

ライフルの発射音であることが理解できた。

どこかで意識的な発射されたのだ。

オレたち四人に緊張が走る。

急速に喉が渇いてく。

目前の若者が姿勢を低くし、じりじりと下がっていく。

波動キャンプが見渡せる位置に変わろうとしているようだ。

続いてピシッ、ピシッ、ピシッと連続して発射音が響いた。

各方向から応射が始まった。

怒号のような声がキャンプ方向から聞こえる。

おおかた警察が大混乱しているのだ。

まさかこんなことが、と警察はパニック状態だろう。悲

鳴とも怒号ともつかない、原始な叫びがいくつも上がる。

その叫びの中、マリーがキャンプ方向を指差した。

散開してキャンプ方向へ歩を進めようというのだ。