鼠の目#448(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

<主な登場人物>

オレ=初老のフリーランス便利屋、通称、鼠。説教多し
オカマのマリー=オカマバーの女将、陸上自衛隊OB
ケンスケ=オレの助っ人、仏外人部隊脱走兵
山下=定年前の所轄の刑事
和田由美子=事務所の雑用を請け負ってくれている素敵な女性
和田洋子=和田さんの一人娘
川崎真知子=オレの依頼人。川崎徳一の孫
川崎真理子=真知子の妹
徳永高男=波動研究会の会長、川崎徳一の嫡外子
文龍名=カルト教団・統合真理教会のボス、波動の最高幹部も兼ねる
後藤=徳永の部下、事務方、対外折衝部門の長
宮崎一平=和田洋子のサークル仲間。波動研究会の末端メンバー
長田=波動のメンバー、上島上等兵の息子、徳永の非公然活動を担う
滝川順平=靴屋の隠居、川崎徳一の戦友
川崎徳一=本名・李光徳、川崎姉妹の祖父
川崎良子=川崎徳一の夫人。川崎聖一の母。古朝鮮の祭祀一族の末裔
川崎聖一=川崎徳一の息子であり、川崎姉妹の父。徳一の死後、失踪
川崎篤子=川崎聖一の妻。川崎姉妹の母。廃宮家の末裔
上島上等兵=滝川、川崎の終戦時の上官。長田の父親

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少し銃身が振れた。

狙いが外れたかな、と危惧したが構わず長田は引き金を絞った。

パンという破裂音がした。

銃弾は警官を掠め、その先の立ち木で弾けた。

警官が振り向く。

手にした短銃を両手で構え、動くなと鋭く叫んだ。

(動くな?このオレ様に、ヤツは動くなといっているのか?)

長田にはその意味が理解できない。

警官は短銃、こっちはライフルなんだぜ?

本当に警官って、どうしてこうもバカなんだ?

長田はかぶりをふった。

思い知らせてやらなきゃいかん。

だいいたい、警官ってな、なんでもかんでも思い通りになると思っていやがる。

どうしようもない。

世の中は思い通りにならないんだぜ、ということを慈悲をもって教え込んでやろう。

長田は大体の見当をつけて、立て続けにカラシニコフの引き金を引いた。

4発、5発。

そのいずれかが警官の腹部に命中した。

腹を両手で押さえ、警官がドサッと前のめりに崩れた。

長田は大股で警官のところに近づいていった。

警官は腹部を鮮血で染めながら、苦しげに痙攣していた。

その姿を見下ろしながら、今回ばかりは間違いなく、警官の額にライフルの銃口を押し当てた。

警官の目が大きく見開かれた。

「これで苦しくなくなる」

パンッという音とともに、警官の脳漿が飛び散った。

長田は警官の手に握り締められた短銃を取り上げた。

右手で軽く振ってバランスを確かめると、そのまま汚いジーンズの尻ポケットに捻じ込んだ。

使えるかどうかわからんが、ないよりましだろう、そう考えての行動だった。

さらにバックパックからペットボトルを取り出し、ゴクゴクと水を流し込んだ。

たまらない甘露に、長田はフーッと大きく溜息をついた。

人を殺すなんて、簡単だ、その思いがさらに強くなった。