不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#449(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

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川崎姉妹と文龍名は建物裏側の露岩の陰に潜んでいた。

露岩と斜面の際を掘り進み、そこそこの大きさの部屋を作っていた。

部屋の壁面は石とコンクリートで補強し、ちょっとした要塞なみになっている。

電池式のランタンが部屋を照らしていた。

小さなテーブルと椅子が数脚おいてある。

彼らは、警察への発砲が始まる前、すでにこのシェルターに入り込んでいた。

「激戦ですな。お二人におかれては耳障りかもしれませんな」

「そんなことはないわ。あと何時間も膠着したままと考えられないわね。間違いなく、大量の火器で武装した敵が現れるわ。全滅、必至よ」

「そうね。姉さんのいうとおり。わたしたちもきっと見つけ出される。でも、生きて彼ら縄につくわけにはいかない。言葉が適切かどうかわからないけれど、一蓮托生よ。毒食わば皿まで」

「なるほど。死は自らの掌中にある、といことですな。そうでしょうね。で、そんなこともあろうかと、これを…」

文龍名が机の引き出しからカプセルを取り出し、川崎姉妹それぞれに手渡した。

「シアン化合物です。青酸カリといったら判りやすいですかな」

「自決用、ってことね」

文龍名は無言で頷いた。

「すべてが一片のカケラもなしに滅び、そうして精神という名の不滅永遠のみが継承されるのね」

文龍名がまた、大きく頷いた。

でも…と川崎真理子が続けた。

「でも、なんですか?」

「かなわぬことではあるのだけど、想像することがあるの」

「どんな想像です?」

「和田洋子に波動を任せていたら、どうなっていたかしら、って」

「それはどういうことです?」

川崎真理子は少し考え込んだのち、ああ、いいの、気にしないで、といい話題を打ち切った。



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