不眠症の眠れない夜

元アル中、初老の繰り言、戯れ言か、と。

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鼠の目#455(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

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「ああ、もうわたしダメかしら」

「バカッ!弱気になるな。丸田陸曹、しっかりしろ」

オレの叱咤にマリーは弱々しくかぶりをふった。

「もう、丸田陸曹は捨てたわ。マリーよ。オカマのマリー。でも、死に場所としては最高ね。あなたやケンスケ、それに和田さんもいてくれる。オカマの死に様なんて、野垂れ死にしかない、そう覚悟していたけど、にぎやかでうれしいわ」

マリーッ!とケンスケが鋭くいい放った。

「マリー。もう一度愛し合おう。アンタは女以上の女だ。死んじゃいけない」

「ケンスケ。ありがとう。あなたがいてくれたから、わたしは生きていけた。投げやりになっていたオカマを救ってくれた恩人よ。ケンスケと一夜をともにできて、再生した思いがしたわ。感謝してもしきれない。本当に、ありがとう…」

そうか。

ケンスケとマリーは愛人関係だったのか。

ハードな生き方をしたもの同士の心の求め合いだったのだな。

「マリーさん…」

和田由美子の顔は、涙でグズグズになっている。

「ねえ、バーボンがあるんでしょ」

「ああ、ある。飲むか?」

「一杯、ちょうだい。店じゃ決して飲まなかったけど、今はいいわよね」

当たり前だ、といい、オレは尻ポケットからスキットルを取り出した。

蓋をはずして、マリーの口元に運んだ。

マリーがほんのわずか酒を啜った。

少し顔がほころんだ。

「安物のバーボンね。あなたらしいわ」

「ああ、今度はオマエの店で最高級のバーボンを飲もう」

「高いわよ」

「ああ、いい。金で済むことだ」

「それじゃさ…」

なにかをいいかけると、そのままマリーの首が、がっくりと折れた。



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