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鼠の目#457(ほぼ全文はリンクで)

鼠の目・これまでの梗概

IMG_1385.jpg

山下は焦りにジリジリと身を焼かれていた。

建物中央へはいまだに散発的な銃声が聞こえている。

内部からの応射はまったくない。

中の状態を想像すると、いてもたってもいられない。

薄っぺらな杉の無垢板で、AK47突撃銃をどれだけ防げる。

山下のリアルな想像力ではおよそ凄惨な場面しか思い浮かばない。

願わくば、中に逃げ込んだ同僚が一人でも少なくあって欲しいと祈るだけだ。

マナーモードにした携帯が山下の胸ポケットで振動した。

間、髪をいれずに取り出し、応答する。

「本部だ。ヘリが出た。ライフル部隊を何人か降下させる。少し離れた地点にかろうじて着陸できるスペースがある。さらにもう三機が待機中だ。ところで、山下。変わったことはないか」

「こっちは穴の中の鼠だ。目だけを出している。鼠の目だ。耐えて凌ぐのが精一杯だ。あとどれくらいでヘリの一陣が来る?」

「10分以内。順次、ピストンで送る」

「武器は?」

「全員、ライフルを携行している」

「上級機関の動きは?」

「どこまでリアルに伝わっているかによる」

「戦争だぞ、これは。新左翼のデモ警備なぞじゃない」

「ああ。わかっている。しかしな、ここがお役所のお役所たるところだ。ヘリの一陣から切迫した報告がいけば、内閣も動かざるを得まい」

「くそっ。どこまで上級職ってなおめでたくできてやがる」

「そういうな。オレもオマエも末端だ。詮ない」

「わかった。こんなことをいっている暇はないな。一旦切る」

「了解した。動きがあったら、至急連絡をいれる」

「了解」

携帯を畳むと同時に、山下の視界の端に動きが見えた。



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